ウィズコロナと学会活動

慶應義塾保険学会理事長

堀田一吉

 

 

 新年あけましておめでとうございます。昨年は、年明けから新型コロナウイルスの災厄が発生し、その後、世界的パンデミックに発展しました。いまだコロナ感染症の猛威は収まらず、終息の見通しの立たない状態が続いています。ちょうど、100年ほど前にスペイン風邪が大流行をして、歴史を大きく変える出来事になりました。おそらく、今回の新型コロナウイルスも、世界中を大混乱に貶めたとして人類史上に深く刻まれることになるでしょう。

 

 このコロナ禍により、人々がこれまで築いてきた慣習や生活はことごとく破壊されてようとしています。そして経済や社会の各方面で、ニューノーマル(新常態)に移行する契機となりました。大学では、一部の授業を除いて、全ての授業がオンラインとなり、リモートでの授業配信が行われました。このオンライン授業では、双方向の議論が難しく、学生同士が刺激しあう状況を作りにくいことなど、教育の質と効果をいかに確保するかにおいて多くの課題が浮き彫りとなりました。

 

 当学会の活動についても、昨年は、総会と2回の研究会、さらには学生研究報告会をZoomによるオンライン開催に切り替えました。慣れない状況の中で、これまでのように参加者が集まって、緊張感や一体感の中での研究会とはなりませんでしたが、逆に、従来まで参加が難しかった遠方のかたにも多くご参加いただけたことは、思いがけない利点でありました。しかし、報告者ならびにテーマの選定、相応しい開催方法や開催時間の設定、会員相互の交流のあり方など、ウィズコロナを踏まえた学会活動のあり方について検討事項が出てきました。

 

 保険業界としては、このパンデミックというエマージング(新興)リスクへの対応が新たな課題となりました。多くの産業がコロナによる大きな経済的打撃を受けている中で、ストック産業である保険業は、いまのところ比較的影響が小さく見えます。こういう時代こそ、人々の不安を取り除き、安定した経済的保障を提供し続ける保険の役割が期待されます。

 

 慶應義塾保険学会は、ウィズコロナの時代においても動揺することなく、これまで同様に真摯な学会活動を続けていきたいと思いますので、引き続き、ご理解とご協力を宜しくお願いします。厳しい状況が続きますが、一日も早いコロナ禍の収束と、皆様方のご自愛をお祈り申し上げます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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