中学生作文コンクール

公益財団法人 生命保険文化センター

理事事務局長 難波元

 

 

 今の夏休みの時期、全国では何万人もの中学生が当センター主催の「中学生作文コンクール」への応募作品の執筆に取り組んでくれています。本稿ではこのコンクールをご紹介します。

 

 私が勤務している生命保険文化センターでは、国内生命保険各社からの寄付金や会費を基に、生命保険に関する「教育・啓発活動」「学術振興事業」「調査活動」の3つを柱とする公益事業を行っています。中学生向けには、「教育・啓発活動」の一環として「中学生作文コンクール」を開催しています。

 

 このコンクールは、1963年以来毎年実施され、今年で56回目を迎えました。このコラムをご覧になっている皆様の中には、かつて応募された方がいらっしゃるかもしれません。

 

 テーマは「わたしたちのくらしと生命保険」。生命保険に触れていれば、内容は自由です。生命保険に係る家族の体験や、ネットなどを通じて調べた情報などに基づき、自分の考えを整理して文章で表現してもらっています。

 

 毎年日本全国の中学校に案内しており、主に国語科の夏休みの課題として活用してもらっています。昨年は、全国一千を超える中学校より34,394編もの応募をいただきました。この中から文部科学大臣賞を始め全国賞8編を表彰、都道府県別賞1000編余りを選出しています。

 

 当センターは、コンクールの案内や運営に留まらず、中学校にセンター職員が出向いて生徒向け講座を開いたり、作文の書き方や生命保険に関する副教材を提供したりしています。こうした形でコンクール応募を支援することで、生命保険の意義やそのベースとなる生活設計・生活保障の考え方をより深く理解してもらいたいと願っているからです。中学生向けの講座・教材といっても、高校生・大学生向けと本質的には変わりはありません。「自分の将来を考える→そのための資金計画を考える→リスクの存在を知る→リスクに対し種々の備えがあることを知る→備えのひとつである生命保険の基本的な仕組みを理解する」というストーリーで、自分ごととして考えてもらうようにしています。

 

 昔と異なり、ライフコースの多様化、長寿化が進む中、生活設計や生活保障を自身で考え備えることがより大切な時代となっています。この意味で、中学生の皆さんにとっては、これらを考える初めての、そして大変良い機会になるものと考えています。

 

 一方、応募作品を読む立場からしますと、身近な体験や集めた素材から生命保険の本質をしっかり捉え、瑞々しい感覚で表現されている作品が多いことに驚かされます。普段目の前の個別課題に追われがちな実務家にとっては、改めて自分が気高い事業の一員と自覚し、励まされる機会になるものと思います。

 

 当コンクールの直近3年の文部科学大臣賞受賞作は、当センターのHPにも掲載しています(http://www.jili.or.jp/school/concours/prize.html)ので、生命保険研究に勤しむ皆様にも是非一度ご覧いただきたいと思っております。

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